総務省が発表した推計人口によると、2008年9月現在、70歳以上の人口は2000万人を超えました。高齢化率も21%を超えたことにより、日本は超高齢化社会と言われるようになりました。
年齢を重ねると若いときに出来たことが出来なくなってきたり、記憶力の低下を感じたりすることがあります(ただし年齢を重ねる魅力というものもあると思います)。それは誰しもが思うことであり、「老い」というものを自覚する瞬間であるのかもしれません。
高齢者が認知症になると、自分自身で判断する能力が乏しくなるために、様々な問題にさらされてしまいます。特に一人暮らし高齢者は社会との接点が希薄になりがちであるために、これを狙った悪質リフォーム等の悪徳商法の被害が多発しています。
認知症になっても、知的障害や精神障害があっても、社会の中で自立した生活を送りたい、そんな想いを出来る限り実現するために支援する制度が成年後見制度です。
判断能力が衰えたかたが、自分らしい生き方をしていくことができるように、成年後見制度では次のことを基本理念としています。
※ 障害者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、
本来の望ましい姿であるとする考え方
法定後見制度
すでに本人の判断能力が不十分となっている場合に、家庭裁判所の審判によって法定後見を開始し、本人を支援する法定後見人を選ぶ制度です。本人の判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型があります。
選ばれた法定後見人は、本人の意思を尊重しつつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しながら、本人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行っていかなければなりません(身上配慮義務)。
任意後見制度
将来、自分の判断能力が不十分となったときのために、前もって任意後見人を選んでおく制度です。法定後見制度が家庭裁判所での審判によるものであるのに対し、任意後見制度は本人と任意後見人候補者との契約によって成立します。この契約は公正証書によってしなければなりません。
本人は、その生活、療養看護及び財産の管理に関することについて、自分自身でいろいろなことを決め、任意後見人に託すことができるので、より自己決定権の尊重を具体化したものといえます。また、任意後見人は法定後見人と同様の身上配慮義務があります。